付き合っている時の満たされている気持ちとは一転、失恋した時の深い苦しみは人を人生のドン底へと突き落とします。
「立ち直りたい」「早く失恋の傷を癒したい」と思っても、失恋の辛さは自分の意思でコントロールできないものですよね。
この記事では失恋後に出る代表的な症状と、失恋のメカニズム、そして失恋から立ち直るメカニズムをご紹介します。
失恋に苦しんでいる人は、失恋とはなんなのかを科学的に理解し対処することで心の整理がつき、苦しみを減らすことができるでしょう。
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失恋後に出る代表的な症状とメカニズム
失恋をすると元恋人のことを思い出して辛くなるだけではなく、恋愛に関係なさそうに思える部分にまで様々な支障が出てきます。
そのため、失恋の影響で通常の社会生活を送ることすら難しくなることも、珍しくはありません。
ここから、失恋後に出る代表的な症状とそのメカニズムをご説明します。
不眠
失恋後に不眠になった経験がある人は、多いのではないでしょうか。
失恋のストレスを感じると、リラックス効果のある「セロトニン」という物質が脳から正常に分泌されなくなります。
セロトニンは睡眠を誘うホルモンである「メラトニン」という物質の原料ですから、セロトニンが不足すると必ずメラトニンも不足します。
つまり、失恋をすると睡眠に必要なホルモンが不足するために、夜になっても眠くならず、やっと眠りにつけても眠りが浅くてすぐ目覚めてしまうのです。
寝付きが悪いと、ベッドの中で元彼のいない寂しさや彼が離れて行く不安を感じ、失恋の辛さが増幅するという悪循環に陥りがちです。
食欲不振
失恋した時に、食事が喉を通らなくなる人は多いです。
失恋時にはストレスにより自律神経が乱れ、実際は空腹なのに満腹だと勘違いさせるホルモンを分泌してしまっていることで、お腹が空かないのです。
さらに、失恋時にはストレスが原因で心因性嘔気(しんいんせいおうき)という症状が出て、気持ち悪くて食欲がわかないという場合もあります。
食べられないと体調不良の連鎖が続き、自律神経も回復しないままですから、元恋人のことを忘れられた後にも身体的に辛い状況が続いてしまうリスクがあります。
因みに、恋をした時に食欲がなくなるのは自律神経の乱れが原因ではなく、フェネチルアミンという脳が興奮した時に出る物質のせいですから、同じ症状でも失恋時の食欲不振とはメカニズムが違うのです。
倦怠感
失恋すると、倦怠感が抜けないという人も多いでしょう。
具体的には、体がだるく何もする気にならないというような状態です。
これは、失恋がショックだからというより、失恋による睡眠不足や食欲不振が続き、脳と体の疲れが回復しないまま蓄積しているだけです。
どんなにショックを受けても、睡眠と食事がしっかりとれていれば、倦怠感がでることはあまりないでしょう。
だるさややる気のなさは、失恋のショックが直接影響しているのではなく、間接的なものだということです。
「よく食べてしっかり寝る」を実践すれば、倦怠感は消えるはずです。
失恋状態は薬物の禁断症状と一緒!?
人は恋愛をすると、ドーパミンという脳内物質を大量に分泌します。
このドーパミンとは快楽を感じると出る物質で、たくさん出るほど人は多幸感を感じます。
そのため、大量のドーパミンが出ると人は「もっとドーパミンを出したい!」とドーパミンが出る物事に依存しがちです。
恋愛している人は「もっともっと」とドーパミンを求めて恋愛依存になっていますが、失恋すると一気にドーパミンが出なくなります。
これは、薬物中毒の患者が薬物を取り上げられたのと同じ状況です。
失恋すると、ドーパミンを出したいのに出すことができないから、強烈に辛いのです。
失恋状態を放っておくと、失恋うつに発展するかも
失恋で様々な症状が出ることは説明しましたが、失恋の症状はうつ病の症状とだいたい同じです。
失恋はうつ病と隣り合わせですから、たかが失恋だと思っていて気づいたらうつ病になっていることもあります。
失恋が発展してうつ病になったものを、失恋うつと呼びます。
失恋うつは、20〜30代の自殺の原因としても代表的なものです。
もしあなたが失恋うつかもしれないと思ったら、自力だけで治そうとはせず心療内科や精神科を受診してください。
失恋から立ち直るメカニズム
失恋は、心の持ちようですぐ立ち直れるものではありません。
失恋の辛さは、物理的に脳や身体が正常な働きをしていないことが原因だからです。
ここからは、科学的な根拠に基いた失恋から立ち直るためのメカニズムを解説していきます。
自律神経を整える
失恋の症状の多くは、ストレスにより自律神経が狂ってしまったことで引き起こされます。
そのため、自律神経を整えることで解消することができます。
自律神経を整えるツボはいくつかあり、代表的なものは
- 内観(ないかん)腕の内側、手首から指3本分離れたところ
- 神門(しんもん)耳の上部
- 丹田(たんでん)おへそから5センチほど下の下腹部
の3つです。
これらのツボの辺りを押したり揉んだりしてマッサージしてみましょう。
ツボの他ですと、ビタミンやミネラルには自律神経を整える効果がありますから、柑橘系の果物を食べるよう意識してみてください。
漢方医に自律神経を整える漢方を処方してもらうのも、おすすめです。
失恋の記憶と感情を切り離す
あなたが失恋した事実を思い出すたびに辛くなるのは、「失恋したという記憶」に「辛いという感情」が付随しているためです。
失恋した記憶と感情を切り離せれば、失恋したことが辛いという感情がなくなるはずです。
失恋の記憶と感情を切り離すには、失恋の記憶を繰り返し思い出せばいいのです。
トラウマの治療法として、トラウマ体験を繰り返し語るという方法があります。
それと同じように、失恋を繰り返し思い出せば失恋の辛さは次第に癒えていくのです。
新しいことを始める
失恋の後には、何か新しいことを始めてください。
- 新しい習慣を作る
- 趣味を始める
- 仕事を変る
- 新しい土地に行く
など、なんでも構いません。
元恋人の記憶を消すことはできませんが、あなたの中で元恋人の記憶の重要度を下げることで、思い出さなくなるはずです。
新しいことを始めると、新たな情報を吸収しようと優先順位をあげますから、過去の恋愛の記憶は隅に追いやられるのです。
感情の整理をする
失恋直後の人は、脳が混乱しています。
そのため、自分で自分の感情がよくわからなくなっているのではないでしょうか?
感情の整理をすると、うまく感情が昇華される可能性が高いです。
失恋して自分がどう思っているのか、紙に書き出して整理してみてください。
感情は日々変化するはずですから、感情を書く専用ノートを作って、定期的に感情の整理を行いましょう。
セロトニンを増やす
失恋の辛さの原因に、セロトニン不足というものがありましたね。
セロトニンの分泌を増やせば、夜はよく眠れるようになり、ストレスなくリラックスして過ごせるようになります。
セロトニンを増やすためにおすすめなのが、バナナを食べることです。
バナナはセロトニンを作るために不可欠な「トリプトファン」「炭水化物」「ビタミンB6」という物質がすべて含まれている、最強の食材なのです。
セロトニンを作るためには、日光を浴びることも大事です。
バナナを食べてから散歩をして日光を浴びると、最も効率的にセロトニンを作ることができるでしょう。
まとめ
失恋のストレスにより、脳や体は正常な状態ではなくなります。
そのため、失恋状態に陥ると、気の持ちようだけではなかなか失恋から抜け出すことができません。
失恋状態が悪化すると失恋うつになり、最悪、自殺したいと思うようになる人もいます。
そうなる前に、この記事でご紹介した「失恋から立ち直るメカニズム」を参考に、回復を試みてください。
立ち直ろうとしてもうまくいかない時には、心療内科や精神科などの専門機関に力を借りましょう。